「限られた時間でも、永遠の時間の中の一部たりえる 」いい言葉だ・・・。
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最終章の感想の2番目の記事。
1番目の記事はこちらです。
(リンク設置)
千年の恋の行方
前回までの楽しいノリがこのままラストまで続いていくのかと思いきや、いきなりシリアスな雰囲気に。
鈴女? それとも、十重?
十重が「十重」なのか、「鈴女」なのか。
それを執拗にハッキリとさせたがる涼。
ああ、これはきっと十重は「鈴女」で、涼は「睦」ではなく「涼」なんだって先にプレーヤーに予感させるテキストの言い回しが巧妙で芸術的だったなぁ。
そしてそれは、二人はこのまま結ばれることは無いという事も予感させ、十重もそれを感じ取ってしまう。
そこからの十重(鈴女)の心の中の叫びは、読めば読むほど居た堪れなかった。
涼「君は、・・・誰?」
「十重」? それとも「鈴女」?
あなたと結ばれるためなら、・・・私はいくらでも自分に嘘が吐ける。
だから・・・、お願い・・・。
あなたの・・・、望む答えを・・・教えて・・・。
これ、読んでて辛かった・・・。
しかし、答えに詰まって泣いて誤魔化す女なんて最低だと、覚悟と勇気を振り絞って「自分は鈴女であり、あなたは睦ではない。勝手に勘違いして好きになってしまってごめんなさい」ってしっかり言うところが、十重(鈴女)の魅力的なところ。
こういうところが好きなんだよなー!
まさかの涼からの告白
十重の正体は「鈴女」。身体だけを移し変えながら千年を生きた、「鈴女」本人。
涼の正体は「涼」。睦ではない。睦の記憶と意志を受け継いだ、「涼」という人間。
だから、鈴女は千年の果てに睦と再会した・・・というわけではないのだ。
鈴女の方だけが涼を睦だと思い込んで、一方的に千年越えの恋だと信じていたという、迷惑な話。
それをキッパリと十重(鈴女)の口で話した。
もう終わりだ・・・。
涼、さようなら・・・。
・・・と思いきや。
何故か涼が涙を堪えているではないか。
????????
涼「あなたのことが好きですッ!!」
・・・・・・え????
・・・は???って思ったよ、言われた瞬間はw
つまり、二人は千年の果てに再会した恋人同士ではなかった事が判明したわけだから、初めて見た時から十重の事を「十重という人間として」好きになった涼にとっては、バッドバッドな事実だったということ。・・・らしい。
そうだったのっ!?
いやー、さすがにその発想は無かった。
いい方向に驚き。
うれし驚きって感じ。
涼「僕は睦じゃない! 睦の代わりにはなれない!
でも・・・でも・・・ 好きなんですッ!」
えーマジすかw
ならいいじゃん、付き合ってしまえば!
涼「・・・君の瞳が、・・・僕の向こうに、
まだ睦という男を見ているのなら・・・
睦から・・・君を、奪い取ってやる・・・っ」
しかし、だ。
この衝撃のラストは、それ自体はいいと思うんだけど・・・。
いかんせん、最初に見た時から十重が好きだったっていう感じがまるでしなかったんだよなぁ。共感できないのが痛い。
そりゃあ確かに、かなり気にしていたような描写はあったよ? 電波女として。
でも、それが恋心の始まりだとは思わなかった。
その後長く続くストーリー中でも、そういう事を予感させられることすら無かったし。
なーんかココ、腑に落ちないなあ。
いい話だと思うんだけどね。
限られた時間の奇跡の終わり
そして死ぬ。
また死ぬんかい!
鹿神比古命も言ってたけど、仮の命を注ぐことはできても、死を完全に覆すことはできない。
じゃあなんでたったの一ヶ月間だけ涼を復活させるストーリーにしたんだよ、竜騎士ィィィイッ!! って叫びそうになったけど、それは雛形先生の言葉で納得がいった。
「・・・酷な結末を迎えるとしても、それよりもたくさんのものを、あなたは得てくれると信じてたから」
要するに、涼が生き返るとか返らないとかが重要なんじゃなくて、十重が人間として、そして女として成長したっていう、そういう話だったんだな。
そうだったとしても残酷な仕打ちっていう人も沢山いると思うけど、俺はここでは雛形先生の意見に賛同しておく。
「限られた時間ではあっても、限られたと知らなければ、それは永遠の時間の中の一部たりえること」
この言葉に素直に感動したからです。
いい文章を書くなぁ竜騎士07。すごい。
もちろん、鹿神比古命の配慮も正解なんだと思う。
でも、雛形先生(神の呪いの妹の一人)はそうは思わなかった。
・・・っていうところも、ストーリーとしての面白味を感じる。
十重と雛形先生、女同士に通じるものがあって、先生は涼に仮の命を注ぐっていう選択をしたのかもしれないね。
先生・・・いい笑顔じゃねーか・・・。
そういえば雛形先生編も収録されてるんだよね。
最終的にだいぶ気に入ったキャラなので、そっちの方も楽しみだな!